Aviation Journalist

航空ジャーナリスト 北島幸司


【ドバイエアショー】Aquiline International B747-412機内潜入!レトロモダンな空間美とジャンボの風格

2025/11/27 航空機・航空会社

アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催された世界的な航空イベント、ドバイエアショーの地上展示エリアは、最新鋭機から歴史的な名機までが一堂に会する、航空見本市としての空間です。その中でも、ひときわ堂々とした姿で来場者の注目を集めていたのが、地元シャルジャを拠点とするAquiline Internationalの展示機でした。

同社は今回、2機の大型機を展示。そのうちの1機が、かつて「空の女王」と呼ばれたボーイング747シリーズの傑作機、B747-412(登録記号:ER-BOM)です。

もう1機はB777-219ER(ER-BOY)でしたが、幸運にも私が機内に入ることができたのは、このB747でした。

ドバイエアショーで際立つ存在感シャルジャ発Aquiline International

巨大な機体を間近に見るだけでもそのスケールに圧倒されますが、やはり真の魅力は一歩足を踏み入れた内部にあります。

このB747-412は、旅客輸送だけでなく、チャーターやVIP輸送など多様な用途に対応できるようカスタマイズされ、その驚くべき内装に機体が持つポテンシャルの高さをまざまざと見せつけられることとなりました。

驚きと感動の「空飛ぶリビングルーム」機首部分の広々とした空間

B747の機内へと続くタラップを登り、メインデッキ前方、機首部分へと進むと、そこで目に飛び込んできた光景に、私は思わず息をのみました。

通常、このエリアはファーストクラスの座席が配置されるか、あるいはギャレーやラバトリーといったサービスエリアとして使われることが多い場所です。しかし、このAquiline InternationalのB747-412の機首部分は、まるで高級ホテルのスイートルームか、あるいは企業の重役室のような、広々としたリビングルームへと変貌していたのです。

機体のカーブに沿って優雅に配置されたソファやアームチェアは、質感の高いファブリックで覆われ、落ち着いた色調でまとめられていました。中央には、資料を広げたり、食事を楽しんだりできるような大きなテーブルが置かれ、その上には間接照明の温かい光が降り注いでいます。足元には厚みのあるカーペットが敷かれ、歩く音さえも吸い取ってしまうかのような静謐な空気が漂っていました。

特別な内装に驚き

この空間の何に最も驚かされたかというと、その「広さ」と「開放感」です。B747の幅広の胴体が生み出すゆとりある空間設計は、飛行機の中にいることを忘れさせてくれるほどでした。天井が高く感じられ、窓の外の景色が遠景となり、まるで地上にある洗練された邸宅の一室にいるかのような錯覚を覚えました。数時間のフライトであっても、ここで過ごす時間は極上のひとときとなるに違いありません。

これは単なる座席ではなく、空を旅するための社交の場、あるいは仕事の拠点として設計されていることが明白でした。重要な商談をまとめたり、家族や友人とのプライベートな時間を心から楽しむための、完璧な環境が整えられていると感じました。この「空飛ぶリビングルーム」を目の当たりにし、「ジャンボ」という愛称が持つスケールの大きさと、この機体のポテンシャルを改めて実感させられました。

アッパーデッキへ

メインデッキの豪華なリビングルームに感銘を受けながら、次に私は階段を上がり、B747の象徴的なスペースであるアッパーデッキへと向かいました。

アッパーデッキは、その昔、ゆったりとしたラウンジとして使われていた時代もありましたが、近年ではビジネスクラスの座席が設けられることが一般的です。この機体のアッパーデッキもビジネスクラスの客室として使われており、そこにはメインデッキとはまた趣の異なる、どこか懐かしさを感じるレトロモダンな雰囲気が漂っていました。

座席の配列は2-2。現代の最新鋭機に見られるような、完全にプライベートな空間を作り出すフルフラットの個室型シートではありませんでした。しかし、その分、座席と座席の間には適度なゆとりがあり、隣席のゲストとの会話も楽しめるような、温かみのある設計になっていました。シートのカラーリングや形状にも、1990年代から2000年代初頭のプレミアムクラスが持っていた、堅実で上質な雰囲気が残されており、それが逆に新鮮に映りました。

隠れ家のような空間

メインデッキから独立した空間であるため、非常に静かで落ち着いており、まさに「隠れ家」と呼ぶにふさわしい特別感がありました。窓から見える景色も、メインデッキとは異なり、翼の上方からの視点となり、空をより近くに感じることができました。

このレトロな雰囲気は、最新鋭の設備が整った空間にはない、旅のロマンを強く感じさせてくれました。派手さはありませんが、長距離の空の旅に必要な機能性と、古き良き時代の航空旅行が持っていた優雅さを兼ね備えているように思えました。

空飛ぶリビングとコックピット

Aquiline InternationalのB747-412の機内見学は、単に豪華な内装を見るという体験を超え、この偉大な航空機が持つ多面的な魅力と可能性を再認識する機会となりました。

機首部分の「空飛ぶリビングルーム」は、VIP輸送機としての最高峰の機能美と、現代的な豪華さを象徴しています。一方、アッパーデッキのビジネスクラスは、B747が長きにわたり世界の空を支えてきた歴史と、時代を超えて愛されるべき上質な空間を静かに物語っていました。

この機体は、最新の複合材を用いた機材が主流となる時代においても、その圧倒的なサイズと存在感、そしてカスタマイズ性の高さによって、「空の女王」としての風格を保ち続けています。ドバイエアショーという国際的な舞台で、地元シャルジャの航空会社がこのような見事な機体を公開したことは、同社の高い運航能力とサービスレベルを世界にアピールする、素晴らしい機会になったに違いありません。

今回の見学を通して、私はB747という名機が持つ、単なる移動手段ではない、「特別な旅の舞台」としての魅力を肌で感じることができました。

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